エプタ

時代の先へ エプタ

Vol.58 2012.9月[月号]
月号

特集

文字の不思議

エプタ表紙
 B A C K N U M B E R L I S T S

 Vol.58  C O N T E N T S
―世界の文字を求めて
 中西印刷株式会社・中西秀彦
―文字と日本人
 早稲田大学社会科学総合学術院教授・ 笹原宏之
顔文字、ギャル文字、間引き文字

 電子メディアから生まれた文字

―伝統文化に息づく 
 江戸文字の世界

 ―文字で観る歌舞伎、勘亭流
 勘亭流家元・二代目荒井三禮門下・
 荒井三鯉

 ― ビラ字から進化した寄席文字
 橘流寄席文字・橘右橘
 ― 勝負の世界を彩る相撲文字
 幕内格行司・木村恵之助
江戸時代の文字絵・絵文字
―脳科学最前線
 脳は文字をどう認識するか

 東京大学大学院総合文化研究科教授・ 酒井邦嘉
書き癖から読み解く
 筆跡診断

 日本筆跡診断士協会会長・森岡恒舟
シネマの中の文字
 「エイゼンシュタインと日本の漢字」

 映画評論家・田中千世子

―古代文字を書く

 古代文字アーティスト・天遊

―暗号文字

 忍びの里に伝わる文字
―日本の活字文化に貢献した

 徳川家康

―文字と書体

 タイプデザイナー 木村文敏


‥‥‥‥‥‥‥‥

ー連載・Dr.神尾の健康快道11
 生体内のエベレスト

 「腸内フローラ」の旅
 落合クリニック院長・神尾重則
ースキンケア講座
 潤いのあるプルルンくちびる

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 人類にとって最大の発明の一つとされる文字。21世紀の現在、地球上には3000種とも5000種ともいわれる言語と、400種にも及ぶ文字の存在が確認されている。
 そのうち実際に使用されている文字は約60種、新聞や雑誌など公に使われている現用文字となると、たった28種類。言語の種類の多さに比べて、文字は圧倒的に少ないことに驚く。
 その無文字言語の代表ともいえるのが北米の原住民のケースだ。わかっているだけで300ほどの言語があるが固有の文字は少なく、むしろ、「言葉には特別な力がある。言葉は伝えるもの。なぜ、書かなくてはいけないのか」と、文字を持つこと自体に抵抗する人々も多いという。そもそも文字とは何だろう。
 はるか古の時代、人や動植物や物を表す記号や絵(ピクトグラム、ヒエログリフ)が発生し、やがて世界各国で各民族の、それぞれの情報を蓄え伝達する手段、技術として、あるいは宗教的、歴史的に、さまざまな形、様式の文字が生まれては消え変化し発展してきた。
 日本ではどうかー。
 中国から伝わった膨大な漢字を、長い時間をかけて日本人特有の文字に加工し、そこから、精神性豊かなひらがなや、カタカナを生み出した。さらに私たちは日常、ローマ字、アラビア数字・・・・・と多種多様の混在した文字を、ごく当たり前に使用している。 
 日本ならではの漢字の歴史や、脳科学という新分野からの言語と文字の関係、そして世界の文字にひかれて、未知の国への冒険を続けた日本人の文字ハンター、文化が花開いた江戸時代を象徴するような江戸文字の数々。果ては、神代文字を使った忍びの文字、古代文字の表現に挑むアーティスト、印刷という文字伝達に苦心した意外な人物‥…‥さまざまな側面から、文字文化へのアプローチを試みた。
 たとえ入り口がどこであっても、文字の世界は広く深く、謎に満ち、興味が尽きない魅力にあふれている。
 そんな一端を、お届けしよう